就労系ビザからの永住許可要件①
【技術・人文知識・国際業務の在留資格からの永住者になるための要件】
日本で就労している外国人の中で最も多い在留資格は『技術・人文知識・国際業務』ではないかと思います。ここでは、この『技術・人文知識・国際業務』の在留資格から、永住許可を得るための具体的な要件をお伝えしたいと思います。
永住許可要件①:素行が善良であること
日本国の法律等に違反をして、処罰を受けていないことということ。
これは、要するに犯罪などを犯してしまい処罰を受けていないということが必要になります。しかし、過去に処罰されてしまった外国人が絶対に許可がおりないかというとそうではありません。最後に処罰を受けてから、一定期間経過をすれば、許可になる可能性があります。一定の期間とはどれくらいの期間かというと、懲役または禁錮の場合、刑に処されて刑務所から出所して約10年を経過(執行猶予付きの場合は執行猶予期間が満了した時から約5年)していること。罰金刑や拘留、科料の場合はその支払いが終わってから約5年経過すれば、永住許可を得られる可能性があります。
日常生活や社会生活の中で違法行為または社会の風紀を乱す行為を繰り返ししていないこと。
これは、日本で生活している中で犯してしまった軽微な違反(懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当しないもの)でかつ繰り返し行っていないものが該当します。
例えば、自動車の運転をする方による違反が最も多いのですが、信号無視違反や駐車禁止違反、運転中の携帯電話の使用違反などです。最近では、自転車運転での取り締まりも強化されており、取り締まりを受けてしまうケースが多いです。
では、違反してしまった場合、どれくらいなら許可の可能性があるかというと、一般的なケースですが、過去5年以内に5回までなら比較的許可されています。
それ以上になると、不許可の可能性がグッと上がりますので、永住権取得を考えている方は気を付けてください。
交通違反の中でも飲酒運転や無免許運転、人身事故など重大な違反をしてしまった場合は、1回だけでも永住許可を得ることが難しくなりますので気を付けてください。
過去5年の交通違反のことなんて覚えてないという方は、運転記録証明書を取得することにより確認することができますので、不安な方は一度調べてみてはいかがでしょうか?
また、結婚している方で、夫や妻、子供が家族滞在のビザを有している場合は気を付けてください。家族滞在ビザというのは、原則働くことができない在留資格ですが、
入国管理国より資格外活動許可を得ることができれば週に28時間以内で働くことができます。しかし、週28時間を超えて働いてしまっている場合は、
違法行為となってしまい永住許可を得ることができなくなってしまいます。
さらには、その家族滞在ビザの方の本体(技術・人文知識・国際業務のビザを有している方)についても、その家族の管理ができていないとして、同様の取り扱いになってしまい、永住許可を得ることが難しくなってしまいます。
この場合は、働きすぎている時間を、通常の決まり通りの週28時間に戻して、そこから約3年経過していれば、永住許可を得ることができる可能性があります。要はまじめに生活をしている実績が3年以上は必要ということです。永住権取得を考えている方で、心当たりがある場合は、すぐにでも対応することをお勧めします。
永住許可要件②:独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
将来にわたり安定した生活が見込まれることとは、収入が一定以上ないといけません。基準としては、過去3年間にわたって約300万円以上の年収があることです。
普通の技術・人文知識・国際業務のビザで就労している方は、ほとんどこの基準を満たしているかと思いますが、満たしていない場合は年収を増やすことが必要です。
また、働いていない方(専業主婦など)は、配偶者が生計要件を満たすことができれば、永住許可を得たい方本人が働いていなくても永住申請が可能の場合があります。独立生計要件は、必ずしも本人だけを対象としているのではなく、生計を一にしている家族が満たしていればよいということです。そして、基準をクリアしている方でも注意してほしいことがあります。
1つは、転職についてです。転職自体は悪いことではありません。自身のキャリアアップのための転職により年収が前職よりもアップしたという場合は問題ありません。
しかし、転職しても、給料も地位もほとんど変わらない、または下がってしまったという場合は、この人はコロコロ職を変える人なのかと思われてしまい、安定した生活とは言えないと判断されてしまいます。そういった方は、転職後すぐには申請をせず、一定期間時間(最低でも1年以上)をおいてから申請することをお勧めします。
もう一つは扶養人数です。収入についても重要ですが、もう一つ永住許可の審査で重要になってくるのが、扶養人数です。
いくら収入が多くても、扶養している人数が多ければ、それなりに生活レベルが落ちてしまうのはわかりますよね。また、扶養人数が多ければ多いほど税金面で免除や控除がされ、納める税金が低くなるため、日本としては国に貢献していないと判断されてしまいます。
特に税金については、後にもご説明しますが、国益に適しているかどうかという要件にも引っかかってきます。
扶養人数1人につき約70万円プラスで要件を考えないといけません。従って年収300万円の方が1人扶養している場合(妻を扶養している場合)は約370万円の年収が必要となるわけです。子供も1人扶養している場合は、妻と子併せて約140万円プラスとなり最低でも440万円以上の年収が必要になってくるというわけです。
永住許可要件③:その者の永住が日本の国益に適合すると認められること
引き続き10年以上日本に在留し、その10年のうち就労系の在留資格を得て直近で5年以上日本に働いているしている外国人であること。
基本的に5年以上日本で働いていれば、同じ会社でなくても大丈夫です。しかし、アルバイトやパートなどで働いているという方は、就労ということにはなりませんので注意してください。しっかりと正社員や契約社員、派遣社員など就労系の在留資格でできる仕事で5年以上就労することが大事です。
また、ここでいう『引き続き』という言葉がありますが、この『引き続き』という意味は、現在有している在留資格が途切れることがなく日本に住み続けることをいいます。したがって、在留資格の更新や変更の際に不許可処分になってしまい、帰国された方は『引き続き』にはなりませんので気を付けてください。
出産や出張などで中長期的に日本を出国されるような方も注意が必要です。目安として、1度の出国で約3か月以上、年間で通算100日以上出国されると『引き続き』と判断されず、日本での生活の基盤がなく、日本に有益ではないと判断される可能性があり、不許可になってしまう可能性がありますので、永住許可を目指している方は、できるだけ長期の海外出国は避けることをおすすめします。しかし、長期出国の理由をしっかりと説明することや、日本における資産や家族の状況を詳しく説明をし、日本で生活の基盤があることを伝えることで許可になることもありますので、諦めずにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
そして、『就労系の在留資格を得て直近で5年以上日本で働いている』という意味ですが、悪い例としては、例えば2年間就労資格をもって会社で働いていた方が、1年間転職のために無職になってしまい、その後就職先が決まり3年間働いたとします。この例では、在留資格にあった活動を1年間継続していないので『5年以上』の要件を満たすことができません。この場合は、あと2年以上現在の会社で働き続けることで要件を満たすことができ、許可される可能性が上がります。
納税などの公的義務をしっかりと行っていること
これは、簡単に言うと日本国や市区町村などの地方自治体へ納税等をしているかということです。ここでいう税金等とは国民健康保険税や市区町村民税(住民税)、国民年金などです。会社で働いている方は、ほとんどの場合社会保険に加入し、給料から自動的に引き落としがされているので問題はないのですが、会社によってはごくまれに給料から天引きされていなく、直接ご本人が支払いをしているという方もいらっしゃいます。そのような給料から天引きをされていない方については注意ををする必要があります。現在の永住許可の審査は、税金等を払っているということは大前提です。むしろその税金等を期限内に納付していることが非常に重要になっています。ご自身はしっかり納税しているから大丈夫と思っている方も一度確認してみてください。銀行口座から引き落としをしている方は問題ないかとは思いますが、コンビニや銀行などに直接払いに行っている方は注意して確認してください。国民年金と国民健康保険税については、特に厳く、一度でも納期限を守っていないと不許可にされてしまいます。こういった方は、永住を許可された後納税をしなくなる傾向があり国益に合わないと判断されてしまうのです。もし、ご自身の納付状況を確認して、期限内に守られていなかったことがわかった場合は、まず永住許可申請をする前の一年間、納付期限を守って納税等の実績を作ります。そして、申請の際に理由書という書類を作成し、納期を守っていなかった理由と今後納期限をしっかり守りますという反省文や対策を書き示すことで許可される可能性が高くなります。
現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること
法律上、最長の在留期間は『5年』となっておりますが、現時点で在留期間『3年』許可されている場合は、最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱われております。しかし、『1年』の在留期間を持っている場合は、当然この要件には該当しませんので、最低でも『3年』の在留期間が許可されるまで更新を続けましょう。
公衆衛生の観点から有害となる恐れがないこと
これは、薬物中毒者や感染症患者であることが、公衆衛生の観点から日本に有害になる恐れがあるとして不許可になる可能性が高いです。対策としては、診断書などを付けて申請することがよいでしょう。
著しく公益を害する行為をする恐れがないこと
これはとても重要で、素行要件や国益適合要件として審査されることになります。
まずは、日本の法令に違反して懲役や禁錮、罰金に処されたことがないことです。
当然のことですが、日本で悪いことをした人が永住権など許可されないということです。
しかし、永久に許可されないということはありません。特定の期間が経過することで許可される可能性があります。
その特定の期間とはどれくらいでしょう。例えば、懲役や禁錮で服役が終わり刑務所から出所した時から10年経過することで許可される可能性が高くなります(執行猶予付きの場合は、その執行猶予期間が満了した時から5年経過すること)。罰金などの場合は、その支払いが終わった時から5年経過することで、審査においては不問になります。
次に、日常生活において違法行為や社会風紀を乱す行為を繰り返していないことです。
これは、前述した懲役や禁錮、罰金などに該当していない、軽微な違反行為を繰り返ししていないものです。わかりやすく言えば、車の運転免許を持っている方が、交通違反をして警察に赤切符(反則金)を切られてしまったという場合が当てはまります。罪としては重くはありませんが、何回も繰り返し違反をしてしまっている人は、許可されないこともありますのでご注意ください。しかし、交通違反の中でも思い交通違反の場合は反則金ではなく罰金(警察ではなく裁判所から支払い命令がある)の場合は、1発でアウトの場合がありますので気をつけてください。
さらには、配偶者や子が日本で家族滞在の在留資格を有している方も注意が必要です。
どんなことかというと、家族滞在の在留資格では、アルバイトなど仕事をすることが原則できませんが、資格外活動許可という資格を得ることで週に28時間までであれば仕事をすることができるようになります。しかし、よくその制限を超えて働いてしまっている方がいらっしゃいます。制限を超えて働いてしまうと、違法行為となり、在留資格取り消しとなってしまう恐れもあります。本人ではないから永住許可の審査に影響ないのでは?といわれる方もいらっしゃいますが、ダメです。家族の問題ですので管理不行き届きということで連帯責任を負わされ本人も同罪となり、不許可になります。まずは、家族の就労時間を適正に戻していただくことが先決です。その後一定期間経過すれば大丈夫ですのでできるだけ早く対応することをおすすめします。
永住許可要件④:身元保証人がいること
身元保証人とはどんな人がなれるのか?原則、『日本人』もしくは『永住者』で安定収入としっかり納税義務を果たしている人が該当します。
永住許可申請をしようと考えている方は、身元保証人になってもらえる人を確保しておくことも重要です。
いかがでしたでしょうか?今回は就労資格の中でも一般的な『技術・人文知識・国際業務』の方についての永住許可要件を説明しました。
要件を満たしているか微妙な方も多くいらっしゃいます。まずはお気軽に当事務所までお問い合わせください。
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